初恋

丈くんに失恋した高校時代の架空のエピソードです



かっこよくてちょっぴりお茶目な丈くんは後輩女子みんなの憧れの先輩で、みんなと同じようにかっこいい先輩だなって思ってたくらいだったのに、学園祭の準備の縦割り班で一緒になったのがきっかけで顔見知りになって、ある日、作業中にちょっとしたミスをした丈くんと偶然目が合ってしまって「秘密やで」っていたずらっぽく微笑まれた瞬間に恋に落ちてしまったんだよね

みんなの憧れの先輩、絶対に届かないと思っていた人に本気になってしまった、初めての恋をしてしまった

でも、あの日以来、丈くんはよく話しかけてくれるようになって、学園祭が近づくにつれて少しずつ丈くんとの距離も近づいていく気がして、どこか期待してしまっていた

日々の会話の中、丈くんは、学園祭当日にクラスの出し物があること、創作ダンスをやること、丈くんもそのダンスに参加することを教えてくれた。絶対に見に行きますって勢いよく言ったら「絶対やで」って嬉しそうに笑ってくれた

そしてついに訪れた学園祭の当日、体育館ステージで行われる丈くんのクラスのダンスを見に行って、ステージの上、丈くんの傍らで踊るひとりの先輩、彼を見つめる丈くんの視線を見てしまって、その初恋は小さく音を立てて終わった

あの日、わたしに笑ってくれた丈くんはわたしのことを見てくれていると思ったけれど、それは大きな勘違いだったとわかった、丈くんの心を奪ってしまった、丈くんの心のぜんぶを掴んで離さないたった一人のひと、丈くんの隣で太陽みたいに笑っていたあのひとは、大橋くんというらしい

そんな、終わってしまったある初恋のはなし