違国日記 11巻(最終巻)

朝か槙生かで言えば私は明らかに槙生ちゃんの感性の方に同調すべき人間だと思っているけれど、見ていて感情を引っ張られるのはいつも朝ちゃんの方なんだよな……と思いながらいつも読んでいた。が、最終巻を読んで最後の最後で槙生ちゃんと一緒になって泣いてしまい、私がここまでずっと朝に引っ張られ続けていたこと、それこそが槙生ちゃん的な感性だったのかもしれないなと思ったりもした。最終巻。

私がこのシリーズを読み始めたのは2021年の春頃、確かへびこさんの感想ツイートが気になって読み始めたと思う。私は当時入院中で、この漫画を読みながらもめちゃくちゃに死にかけている最中で、こう、曖昧だった死という概念が突然隣に訪れた朝ちゃんの境遇には思うところがあった。私は朝の砂漠を理解できるとは言えないけれど、当たり前のように周りで生きていたひとを突然奪っていく死というものへの恐怖というか、それに向き合うことそのものが恐ろしいという気持ちはなんとなーーく、そうだろうなと思って。そういう朝を追いかけてずっとこの物語を読んできた。朝くんはどこに辿りつくんだろうな、と。

で、さーー。書かないと語れないってちょっと前に言ったじゃん……。小説などと言うのは若干おこがましいが……創作物的なもの、そういう文章を書く、その行間にやっと自分の言いたいことが滲んでくる、という話。それが形のある言葉では足りないものをなんとか表そうとする、言葉を尽くしていろんな角度から表現することでなんとか伝えようとする、みたいなのが今回すごくちゃんと表現されていて、表現がうまい……。でも、私は何者でもないけれど書くことでしかどうしようもない人間ではあるのだとようやく諦めがついてきたところで……あのさあ……嫌すぎるなこの話 もうやめていいか? なんかほんとにぜんぶ書いてあって嫌だったわ 好きな作品読んだ感想で嫌って言うなよはそうなんだけど嫌だろこんなの……はぁ……

ここで終わるとアレすぎるので、ちゃんと良かったという話で締めますが。
語ると陳腐になるけれど、やっぱり人と人の愛の物語を真正面からやってくれるの、うれしいなと思った。愛の表現。言葉を尽くすこと。良かったな……。いや本当にろくなこと書けてないけど、すごく良かったので……。