私の少年

アラサーOLと美少年の話。「この漫画は開始1ページで膝の上に美少年が寝ている。お前は死ぬ」みたいな感じで友達がおすすめしてくれたので読みました(そうは言われていない)

yanmaga.jp

なんか……あまりにも良すぎるというか、自分の好きなものど真ん中すぎて、読んだことを若干後悔するくらい良かった。私がこんなものを読んだら自分で何か表現する意欲がなくなってしまう……。描かれているものがおそらく今の私の描きたいものに非常に近くて、ゆえに劇薬。

私は私の感性を100%で表現した作品がない限りは自分が創作する意味はあると思っているので評価の有無とかジャンル規模とか関係なく書ける方だと自分で思うけど、「私の少年」は近すぎて"書けなくなる”みたいな恐怖があったな……。あぶね〜。

本題。とにかく真修がかわいい。聡子のふるまいや考え方に倫理道徳的な違和感がない(危うい行動については本人の葛藤が後々まで描かれている)ので共感を持って読めた。家族でもなんでもない12歳の少年と30歳の女性は、ただ二人で一緒にいることだけのことがとても難しくて、なんの形でもない二人がなんの形でもない状態でただ二人で笑えるようになる、そこまで本当に大変だった……。ただまっすぐにここに至るのではなくて、傷ついて離れてどう関わりたいのかをめちゃくちゃ考えた結果を見せてもらえて、この物語全体に満足感があった。

二人ともそれぞれの問題を抱えていて、子供の真修はもちろん聡子の家庭や人間関係の問題を解決できないし、他人でしかない聡子にも真修の家庭環境に介入する権利がない。でもただ一緒にいるだけで互いに救われていて、この世界で楽に息ができるようになるために、二人が出会えて本当に良かったなあと思う。

人間を描くのが上手かった。子供の無力さと他人の大人の無力さ、葛藤、間違いも戸惑いもする心の動きをしっかり時間をかけて描いてきたからこそ、最後に二人のあり方、関わり方に結論が出たときにちゃんと納得できるし嬉しいなと思える。

本当に良かった。友達、みんな私へのおすすめが適切すぎる……。もっとください。